【続】俺様王子と秘密の時間
≪part☆1≫
◆噂の王子様
誰も居ない【禁断の部屋】。
そして今は昼休み。
この部屋に二人きりなんだ。
「ちゃんとこっち向けよ?」
千秋はそう言って端正な顔を近づけてくると、あたしの髪の毛に指を通して絡め取る。
きゃああああああ……!
毎回なんでこうなるの?
川村椎菜。
今、ピンチに立たされています。
「か、顔……近いよ……」
あたしは大きく切り取られた窓に背中をピタリとくっつけて、千秋から目を逸らしていた。
「目、逸らすんじゃねぇよ」
千秋はあたしを壁に追いこむと、「フッ」と笑った。
「千秋……は、離れて?」
「無理」
即答する千秋は涼しい笑みを浮かべて、顔をふにゃふにゃにして困るあたしを楽しそうに見つめる。
う……。
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