【続】俺様王子と秘密の時間
「ごめんなさい……」
あたしのせいで。
千秋は全身びしょ濡れ。
「風邪……ひいちゃうよね」
ほんとに申し訳ないっていう気持ちがこみあげてきて、あたしは千秋の瞳から目線を落とした。
そんなあたしの頬を優しく撫でてくれる。
「なに?あっためてくれんの?」
ずぶ濡れになってまで涼しい顔。
千秋はほんの少し顔を傾けて、挑戦的な瞳であたしを見下ろした。
決して積極的な方じゃない。
目が合うだけでドキドキする。
キスをすると胸が熱くなって。
いつも恥ずかしくて顔が火照る。
だけど……。
だけど……。
「ほんとに……ごめんなさい」
ギュッ……と、千秋の冷たい背中に這わせた両手に力をこめる。
ぐっしょり濡れた千秋の背中は、前よりも近くに感じられた……。
千秋への気持ちが膨らんでゆく。
泣きそうになるくらい……。