【続】俺様王子と秘密の時間
「あのバカ王子!一生寝てろよ」
クラスのみんなが開放的になる昼休み、羽鳥はバイクの鍵を机に叩きつけると不機嫌な顔をあたしに向けてくる。
うぅ……。
羽鳥、怒ってるよぉ。
まるで尻尾を踏まれて怒った犬みたいで、今にも噛みついてきそうな勢いだ……。
「誰がバカだよ」
昨日、“バカが移る”なんて言われたもんだから、朝からずっとご立腹な様子の羽鳥。
せっかくジャージを貸してくれるっていうのに、そんなこと言われたら誰だってムカつくと思う。
……羽鳥の場合は特に。
「つぅか、お前もなに流されてんだよ?」
「え……」
前の席に座る羽鳥はくるりと身体を向けて、あたしと向かい合う。
眉が吊り上がって、切れ長の目が険しくなる。