【続】俺様王子と秘密の時間


手にしていた紙袋を奪われた。



「こういうことする女ってほんとに鬱陶しいんだよ!本気で恋するなんてバカじゃないの……!?」


美結ちゃんは声を張り上げると、両手で紙袋を掴んで叩きつけた。


ドサッ……という音と同時に、紙袋からワッフルの入った箱が飛び出て中身が散らばった。


歪な形をしたワッフルがアスファルトに転がる。



「ヤメ…テ……」


あたしは咄嗟に膝をついてワッフルを拾い上げようとした、直後。



「どんなに一途に想っても…その想いはいずれこうなるんだよ!」


頭上から降ってきた声に手を止めた時。


グチャッ……。

生々しい音がした。



「アンタの脆い恋心もいつかこうなるんだよ?バカげてるのよ!」


目の前でグチャリグチャリと美結ちゃんがワッフルを踏みにじる。


胸が千切れそうだった……。

 

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