【続】俺様王子と秘密の時間
「あいにく、てめぇみたいな可愛げのねぇ女を抱く程、オレは不自由してねぇよ?」
「……!」
「その辺の男と一緒にすんな。オレの価値が下がるんだよ。つか自分を安売りする女とかマジ無理」
羽鳥は「フッ」と鼻で笑った。
恐る恐る羽鳥を見上げると視線がぶつかって、切れ長の瞳に情けないあたしの顔が映りこんだ。
だけど羽鳥は眉を下げて優しい瞳をしてくれた。
美結ちゃんは唇を噛みしめたあと口を開いた。
「この女かなり精神乱してるみたいだから何とかしてあげてね?」
それだけ言うと美結ちゃんはあたしと羽鳥の横を通り過ぎて行く。
でもすぐにピタリと足を止めた。
「千秋先輩って……まだ、“人のモノ”じゃないですよねぇ?」
意味深な言葉にあたしは全く理解出来なかったけれど、羽鳥の眉がピクリと動いた。
美結ちゃんはそれだけ言うとニヤリと笑みをこぼして立ち去った。