【続】俺様王子と秘密の時間
千秋の家に来るのは二回目だ。
「千秋、部屋で寝てるから勝手に入っていいよ?オレはリビングに居るから何かあったら呼んで?」
あたしは階段下まで案内された。
勝手にって言われても……。
「遠慮しないでよ?彼女なんだからさ」
「えっ?」
彼女……?
あたしは彼女ではないんだから、ここで否定すればよかったんだ。
『彼女面しないでよ』
けれど、あたしは美結ちゃんに言われたことを思い出して何も言えずに口を結んでしまった。
「な、なんかごめんね?あんな偉そうなヤツ、椎菜ちゃんの方がお断りだよね?勘違いしてごめん」
口ごもるあたしを見た春希さんは、身振り手振りをつけて慌ててフォローしてきた。
すごく大人な雰囲気の持ち主だから、そんな姿を見て少し胸が綻んだ。
「でも、千秋は君しか見えてないみたいだから、てっきり彼女かと思ったんだ」