【続】俺様王子と秘密の時間
涼くんはそう告げると帰っていった。
あたしは嫌な予感を感じながらも禁断の部屋へと続く廊下を歩く。
このまま逃げても、きっと何も変わらない。
逃げるわけにもいかないんだ。
もしかしたら、ほんとに千秋があたしを呼び出したのかもしれない……なんて、甘い考えかな。
もうすぐ禁断の部屋へとたどり着いてしまう。
誰も居なくなった廊下には、水道からポタッと垂れる水の音がやけに響いて、不気味に感じる。
「どこ行くんだよ」
ビクッ……!
ひぃいいいいい……!
ビックリして身体が固まった。
「シイ?」
だけど聞き慣れた声がして振り返ると、今度は羽鳥が立っていた。
「は、羽鳥?なんで居るの?」
「お前の鞄あったから。つか、今日のシイ変だぞ?」
うっ……。
だって、色んなことがありすぎてもう目がまわりそうで、でも不安は消えないし。