【続】俺様王子と秘密の時間


「バカ。アイツには気をつけろっつったろ?何考えてるかわかんねぇ女なんだぞ?」


顔をしかめる羽鳥。


それはわかっていたことだ。

ついさっきも涼くんに言われたことだもん。



「あの女の罠だ」


羽鳥の視線と声を背中に浴びながら、その言葉に今にも足がすくみそうになってしまった。


もし、罠だったら……。


でも、ほんとに千秋が待ってるかもしれない。


こんな状況にさえ甘い考えを捨てられないあたしは、ほんとバカ。


あたしは無言で駆け出す。

後ろで羽鳥が舌打ちしたのがわかったけど、止まらずに走った。


……だけど。




「シイ行くな!」


すぐに追いつかれ腕を掴まれた。



「やだ……離して……」

「離さねぇ」


羽鳥の瞳がやけに真剣であたしは俯いて沈黙してしまう。


その時。


――ガタンッ!


禁断の部屋の方から激しい音が聞こえた。

 

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