【続】俺様王子と秘密の時間
深い闇雲に押しつぶされたみたいに、視界も思考も呼吸も、全てが止まったようだった……。
「アンタにはわからないよねぇ?だって、まだ抱いてもらえてないんでしょう?ま、無理な話ねぇ」
千秋が美結ちゃんに触れたのかもしれないと思うと、耐え難い痛みが全身を巡っていく。
夢だと思いたい。
夢なら、きっと覚める。
そう都合のいいように思いこんで、あたしは逃げ出したいだけだったのかもしれない。
「なに言ってんだよ?てめぇ、ついに頭イカレちまったか?」
「ううん。美結はね、ほんとのことを言ってるだけだよ?千秋先輩と、今……しちゃったの」
嫌だよ……。
もう耳を塞いでしまいたい。
「ごめんねぇ?美結の方が先に千秋先輩とエッチしちゃって……」
勝ち誇ったように笑う。
あたしの横を通り、去っていく美結ちゃんから、千秋の甘い香りが流れてきた……。