【続】俺様王子と秘密の時間


うんざりだとばかりに顔をしかめる千秋に、美結ちゃんは火でもついたかのように反論する。



「こ、こんな凡人どこがいいのよ!頭空っぽのバカ女じゃない!」


次に千秋の言葉が出るまでの間、漂う沈黙が物凄く長く感じた。


そして……。



「バカなとこも含めて、全部だ。それに、笑った顔が襲いたくなるくれぇ可愛いとこもな?」


挑発的な口調で言った。

「フッ」と鼻で笑う。



柔らかく響いたその声に胸が震えた……。


あたしは心地良い夢でも見ている気分になる。

だけどもしもコレが夢物語なら、永遠に終わりがこなければいいのにとあたしは願ってしまう……。


泥ついた心が軽くなってゆく。



「消えんのは、てめぇの方だ」


強い眼差しで見据える。



「烏滸がましい女。さっさと消えてくんねぇ?」


冷酷に、氷のように冷たい微笑を浮かべた。

 

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