【続】俺様王子と秘密の時間
あたしを見つめてくれるブラウンの瞳に吸いこまれてしまいそう。
その瞬間、強く抱きしめられた。
身体がピタリと合わさる。
千秋は掠れ気味の声で囁く。
「気づいてやれなくて、ごめん」
こんな風に謝ることは初めてで。
一瞬にして視界が滲みだす……。
こらえようとしたけど手遅れで。
涙が、溢れた……。
終わりの来ない闇夜から救いあげられたような気持ちになって、同時に安心感に包まれていく。
「ち…あき……」
あたしは千秋の胸に顔を埋めた。
千秋の腕の温もりを感じて、千秋の甘い匂いが胸に染み渡り、暖かさと切なさに染まっていった。
何も知らないフリしてたクセに、ちゃんと見ていてくれたんだって思うと、小さな期待が産まれる。
「お前に泣かれると困るんだよ」
精一杯の強がりも、王子様の前では無意味で。
溢れて、声にならない。