【続】俺様王子と秘密の時間
≪part☆3≫
◆襲われちゃうぞ!
――“好き”が溢れてくる。
そう思ったのは17年間という人生の中で、初めてのことだった。
恋愛というものをしたことがなかったから。
あの日以来、美結ちゃんはもう3年の教室に来ることはなかった。
たまに校内ですれ違ったりしても、あたしを睨んだりすることもない。
というか目を合わすこともしなくなった。
「それは良かったね」
時刻は放課後。
図書室に行くからと言ったはーちゃんと別れたあたしは一人、新聞部の部室に来ていた。
「うん!ありがとね」
美結ちゃんのことで色々と教えてくれたから。
「別に僕は、記事にするネタを集めていただけだ」
涼くんは椅子に座ったまま顔をプイっと反らした。
ちょっと可愛いかも。
あたしは部室を出ようとドアに手をかける。
その時、背中に涼くんの声が聞こえてきた。
「ほんの罪滅ぼし。それだけ…」