【続】俺様王子と秘密の時間
トクン……トクン……。
一気に体温が上昇する。
「何もねぇのに、なんでそんな暗い顔してんだよ?」
少し顔を傾けて聞いてくる。
茶色い髪の毛がサラリと揺れた。
「暗い顔なんてしてないもん」
千秋はきっとあたしの悩みなんて知るはずがないんだろうな……。
ずっと“秘密な関係”のままなの?
あたしと一緒に居るところを見られたくないの?
口に出して言えない悩み事を、心の中でそっと呟いてみる。
けれどあたしは千秋が気にかけてくれたことは嬉しかったの……。
戸惑いと喜びで揺れる。
「素直じゃねぇヤツ」
そう言って千秋はあたしの手をとる。
唇を尖らせるあたしの手に何かを握らせて、千秋は「フッ」と笑うと何も言わずに去っていった。
ひんやりと冷たい感触がした。
「バカ千秋……」
手の中にあるのは、大好きな苺ミルク。