【続】俺様王子と秘密の時間


千秋に触れられた場所はまだ熱を帯びていて、握らされた苺ミルクの冷たさが心地良かった。


本心とは裏腹な言葉ばかり。


ほんとはもっと触れていてほしかったの……。

どこか矛盾しているあたし。




重い足取りで帰り道をのそのそ歩き、学校の近くにある公園のベンチに腰をおろした。

憂鬱な気分で家に帰る気にはなれないよぉ。



「や〜ん。カズくんったらぁ」

「ほーら、ちゅーっしてよ〜」


は……?


向かいのベンチにカップルがやってきた。

彼女にタコみたいな唇を突きだす彼氏……。

イチャイチャしてる男女は俗に言う、バカップルでしょうか……?



ムカッ。

今あたしは色々と悩んでるんだから邪魔しないでよねー!

そんな心の叫びも虚しくカップルはイチャイチャしている。


う……。

お邪魔虫はあたしの方だ。

もう帰ろう……。


立ち上がろとした時だった。

 

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