【続】俺様王子と秘密の時間
ギュッと千秋に抱きしめられたあたしは、その温もりに包まれた。
「お前と居るところ、誰にも邪魔されたくねぇから」
二人きりの部屋なのにまるであたしにしか聞こえないように、絞りだすように声を潜めて言った。
こんな千秋は初めて……。
あたしだけに発してくれた言葉が、たまらなく嬉しくて千秋の胸にそっと顔を埋める。
痛いくらいに抱きしめられて、でもその痛みはひどく優しいもの。
「前に言ったろ?“逃がさねぇから、覚悟しろ”ってな?」
いつもなら鼓膜を揺るがす千秋の吐息に心臓の音が激しく波打つのに、今はそれが心地好くて……。
そして静かに身体を離された。
「さっき言ったこと……ほんと?」
『椎菜は大事な女だ』
確かに聞こえたんだけど実感がなくて……。
「ああ」
涙をこらえるように見上げたあたしに、千秋は瞳を緩ませた……。