【続】俺様王子と秘密の時間
◆甘いキスに溺れる
「ち、千秋……?」
あ……ココ、視聴覚室だ……。
あたしは暗い部屋に居ることで、すぐに理解した。
普通の教室とは違って、長い暗幕が大きく切り取られた窓を隠していた。
教室にある椅子とは違って白い長いテーブルが並ぶ。
暗幕の隙間からわずかに漏れる太陽の光だけで、視界が暗くて。
千秋があたしの側に居ることがなんとかわかるくらいだった。
つまりあたしが歩いていたのは、視聴覚室の前の廊下だ……。
「千秋、ずっとここに居たの?」
「ああ」
ってことは、さっき感じた鋭い視線や足音は千秋じゃないんだ。
「お前の叫び声が聞こえたから、引きずりこんでやった」
口角を吊り上げて笑う千秋。
な、ななななんて物騒なことを!