【続】俺様王子と秘密の時間
あたしは小さく頷いた。
千秋の喜ぶ顔が見たいんだ。
「じゃあ、決まり!」
恋って不思議……。
ちょっとしたことだけど、なんでも出来そうな気持ちになるから。
そしてユリさんはリビングに向かって叫んだ。
「雅弥ーっ、駅前のスーパーへ行ってきてくれる?シイちゃんと」
言い争う声がピタリと止まり、千秋と羽鳥がこっちを向いた。
「なんでオレが……」
「バイクに乗せてあげてね?」
羽鳥と行くのが嫌なわけじゃないけど、なんか気まずいんだよぉ。
千秋の誕生日も嘘を教えられたんだもん。
「わかったよ。行けばいんだろ」
「羽鳥、ありがと……」
「別に」
羽鳥は立ち上がるとポケットから鍵を取り出してクルッと回した。
玄関を出る時ユリさんがあたしに耳打ちする。
「千秋には内緒にしておくから」