【続】俺様王子と秘密の時間
「よし、これで材料は全部」
材料を確認してお菓子売り場へ行ったんだけど、羽鳥の姿がなかったからレジを通して外へ出た。
まったくもぉおおおお!
駐輪場へ行くと買い物袋をさげてバイクに寄りかかっている羽鳥を見つけた。
お菓子でも買ったのかな?
「外に行くなら声かけてよね?」
「悪ぃ。シイがあんまり真剣に選んでるから、出てきた……」
街灯でうっすらわかる羽鳥の顔。
苦い笑みを浮かべていた。
「なに買ったんだ?」
「ケーキの材料……」
そこで会話が途切れてしまった。
眉を下げて地面を見つめる羽鳥を、あたしは直視することが出来ずに言葉を詰まらせてしまう。
羽鳥はさっきから一度もあたしの目を見てくれなくて、それがとても悲しいことのように思えた。
「シイ……。アイツん家に泊まるってことがどういう意味か、お前わかってんの?」