【続】俺様王子と秘密の時間


沈黙を破るように話始めた羽鳥の声は、人気のないスーパーの駐輪場でやけに響いて聞こえた。


いつもよりずっと低い声。


泊まるということは一晩中一緒に居るということ。


千秋があたしに言った言葉の意味を、理解しているつもりだった。

心の準備なんて出来てないけど、ただ一緒に居たいと思う気持ちだけで突っ走ってしまった。


だけどそう思った気持ちに嘘はなくて。



「シイと一晩中一緒に居て、理性なんか抑えられるわけねぇだろ」

「でも……」


強い口調にそれ以上言葉を続けられなくて、羽鳥が何を言いたいのかもあたしはわからなかった。



「男は抱きてぇって思うんだよ」


険しい表情でやっとあたしに目をやる羽鳥。

ドキンッ……と心臓が跳ねる。



「それでも一緒に居たいの……」

 

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