【続】俺様王子と秘密の時間
掴まれた肩がジンジンと痛い。
背中にはコンクリートで出来た壁があって、痛みをこらえるような羽鳥の顔が目の前にある。
「……誕生日終わっちゃう……」
おめでとうも言えないまま千秋の誕生日が終わってしまうなんて、そんなの絶対に嫌だよ……。
「バカだよな、シイは。バイトまでして。んなに、アイツの喜ぶ顔が見てぇの……?」
カフェの制服姿のままのあたしを見て、羽鳥は眉をさげて笑った。
「こういうの初めてだから……」
全部、初めてだから。
好きな人の誕生日に何かしたいと思ったのも、喜ぶ顔が見たいと思ったのも、一緒に過ごすことも。
千秋が初めてだから。
「誕生日も知らなかったクセに」
「羽鳥だって嘘ついたじゃん…」
「気に入らねぇんだよ!」
張り上げた声にビクリとした。
その時、甲高い音が響いてキラリと光ったライトに照らされた。