【続】俺様王子と秘密の時間
クラクションの音だった。
それは駐輪場の脇で停車した一台の白いステーションワゴンから。
――バンッ
誰かが車から降りてこっちに向かって来る。
足音が近づくにつれてその人物の顔が側にある街灯に照らされて、ハッキリとわかった。
黒髪、長髪……。
「シイ。なぁにやってんの?」
羽鳥に肩を掴まれたままのあたしを見て、現れた黒澤拓海は首を傾げて楽しそうにクスリと笑った。
コイツにまた会うなんて最悪だ。
「誰だよお前?」
「んー?オレ?」
あたしの肩を離した羽鳥はよりいっそう険しい顔で黒澤拓海のもとへ二、三歩近よった。
黒澤拓海はデニムのポケットから“Seven Stars”と書かれたタバコを取り出して火をつける。
「オレは、さっきまでシイと一緒に男。それだけ」
煙を吐き出しあたしに目をやる。