【続】俺様王子と秘密の時間
「さっき店に来てお前を連れ去った男とちげぇじゃん?」
「あなたに関係ないでしょっ!」
言い方は悪いけど、どうしてこう次々と邪魔が入るんだろう……。
何か言い返してやろうと黒澤拓海を睨んだ。
苦いタバコの香りが鼻をさす。
「タバコ…あなた未成年なのに」
「二股女が、なにクソ真面目なこと言ってんの?」
「は……?」
「やるねー。グズでノロマなシイも」
こんなヤツもういい。
勝手に言わせておけばいいんだ。
「やっぱり違うか。当たり前だよな。どうかしてんな、オレ……」
あたしの顔を真剣な瞳で見つめて、また意味のわかんないことを言った黒澤拓海は車へ戻って行く。
まるでどこか遠くを見ているような瞳だった。
「シイ。二股はよくないぜ?」
黒澤拓海はそう言って車に乗りこむと、そのまま去って行った。