【続】俺様王子と秘密の時間
なんで居るの……?
驚いて千秋のもとへ駆け寄る。
「雅弥は?」
あたしはフルフルと頭を振る。
さっきの出来事を言えるはずがなくあたしは俯いた。
察したのか千秋はそれ以上何も言わなかった。
頭上で千秋が息を漏らす気配がしてふと見上げると、あたしの腰に片腕を回して優しく引き寄せた。
「帰ってこねぇかと思った」
トクン……。
掠れた声に鼓動が波打つ。
千秋がこんなことを言うなんて。
「バカ……」
嬉しかったのに素直になれない。
千秋の胸におでこを押しあてて、あたしはせめて今日だけでも素直になろうと強く思った。
家に入り千秋が部屋へ行ったのを確認して、ケーキを作ろうとキッチンに向かった。
「ごめんなさいね……雅弥と二人で行かせたわたしが悪かったわ」
「いえ……」
スーパーでの出来事を話したあたしにユリさんは謝ってきた。