【続】俺様王子と秘密の時間


「シイちゃんのことを好きな雅弥が可哀想になってわざと二人で行かせたの。でもやっぱりまずかったわね。ごめんね……?」


ユリさんにとって羽鳥は大切な幼なじみで、あたしなんかよりもずっと羽鳥をわかっている人。

放っておけなかったんだよね。




それからユリさんはあたしにオーブンの使い方を教えてくれた。

あたしはクッキングシートを敷いた型に生地を流しこみ空気を抜き、オーブンに入れて焼いた。


上手く出来るかちょっぴり不安。



「ねえ、シイちゃん?千秋のこといつ好きになったの?」

「えっ!?」


苺を切っているとユリさんが突然そんなことを言いだした。



「えと、去年かな……」


自覚したのは去年の夏合宿の後。


でもほんとは出逢った頃から気持ちはもう千秋に向かって動き出していたのかもしれない……。


王子様に捕まったあの時から。

 

< 297 / 658 >

この作品をシェア

pagetop