【続】俺様王子と秘密の時間


「恋って、まるで魔法みたいね」


慎重に苺を切っていくあたしの隣で、短い髪の毛を耳にかけながらユリさんは話し始める。



「恋をするともうその人しか見えなくなって、彼のためなら何でもしてあげたいって思ったり、自分じゃ信じられないような行動にでたり……ね?」


ほんとにその通りかもしれない。


その人しか見えなくなる。

自分のことを想ってくれる誰かがいたとしても、他の誰かじゃダメで、その人だけしか見えなくて。

まるで魔法にかけられたみたい。



「永遠に解けない魔法ってあるのかな……」


ポロッと口から出た言葉に自分でも驚いた。


だって童話に出てくる魔法っていつかは解けちゃうものだから、そう思うとなんだか悲しいよ。

だから解けない魔法があればいいのにって思った……。



「永遠って、自分で創るものよ」


苺を口に運んでユリさんは天使みたいに笑った。

 

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