【続】俺様王子と秘密の時間
それからユリさんはあたしに泡立て器の使い方を教えてくれたあと、朝早いからと帰って行った。
すごいロマンチックなことを言う人だなぁ。
綺麗な容姿に釣り合う綺麗な心を持った人で、ほんとに羨ましい。
「なんか……焦げ臭いね……」
「えっ?」
キッチンに入ってきた春希さんは苦い笑いを浮かべてオーブンを指さした。
わわわっ!
大変だぁあああ。
あたしったらボーッとしてた。
「あ……」
オーブンから取り出すとスポンジの表面は少し黒くなっていた。
ああ、ほんと最悪だよぉ。
しかも真ん丸になるハズのスポンジが、所々歪んでちゃってるし。
「ほ…ほら、見た目より味っていうか、気持ちの問題っていうか」
フォローをいれる春希さん。
とにかく綺麗にデコレーションすれば見た目は大丈夫だよね……?
「終わったらお風呂入っておいでよ」
「あ、はい」