【続】俺様王子と秘密の時間


初めて作った苺が乗ったケーキ。

形は悪いけど想いをたっぷり詰めこんだの。

あたしが作ったんだよって言ったら千秋は驚くかもしれない……。



千秋は喜んでくれるかな?


あたしは千秋の部屋の前でそっと目を閉じて千秋の喜んだ顔を頭の中で思い浮かべてみる。

けれど浮かんできたのはさっき無理に笑った羽鳥の顔だった……。



羽鳥、ちゃんと家に帰ったかな?


そこまで考えてブンブンと頭を振って掻き消した。

ダメ、ダメ……。

今日は千秋の誕生日。


他のことは頭にいれたくなくて、千秋のことしか考えたくないよ。




あたしは部屋の扉を開けた。



「おせぇよ」


ドキッ……。

部屋に入るとオレンジのライトがついているだけで、少し薄暗い。


千秋の濡れた髪の毛が光る。

すごく綺麗に見えた。


あたしはこの部屋で千秋と朝までずっと一緒なんだ……。

 

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