【続】俺様王子と秘密の時間


「ぷ。下手くそ」

「なっ!」

「形、歪んでる」


うぅ……。

だって初めてなんだもん。

あたしが作ったケーキをまじまじと見て、千秋は面白いモノを見てるいるみたいに笑ってる。


酷いよ酷いよ……。



「どうやったらこんな形になるんだよ?」

「じゃ、じゃあ、食べないでよ!あたし一人で全部食べちゃ……」


ケーキを取り上げて唇を尖らせるあたしの横からスッと腕が伸びてきて、ギュッと引き寄せられた。


驚いて千秋を見上げる。



「嘘だよ。すげぇ嬉しい」


キスをするみたいに近い距離で、あたしの顔を見て言ってくれた。


トクンッ……。


いつも涼しげな千秋の瞳がふわりと緩んだ。

それはまるで出逢った頃にあたしが初めて“千秋”って名前で呼んだ時に見せた微笑みだった。



そんな顔をされたら、

あたしはもう止まれない……。

 

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