【続】俺様王子と秘密の時間
こんな時間がずっとずっと続けばいいのにって思ったその時、羽鳥の言った言葉が頭を過った。
『アイツのこと何も知らねぇじゃん。好きだから、なんて言ってっけど、何を知ってるわけ?』
何も考えないようにした。
今は何も考えたくない。
「甘すぎんだけど?」
「え……」
「砂糖いれすぎじゃね?」
ケーキを食べる千秋は苦笑いをするあたしを見て「フッ」と笑う。
「お前にしたら上出来じゃん」
嬉しかったのに喜べなかった。
こんなんじゃダメだ。
だから無理に笑って誤魔化そうとしたけど、それは出来なかった。
「なにヘソ曲げてんだよ?」
千秋があたしの顔を覗きこむ。
きっとあたしは酷い顔してる。
「なんでもないよ」
見られたくなくて顔を背けた。
だけどすぐに千秋の手があたしの頭の後ろに回って、阻止される。
「言ってみ?」