【続】俺様王子と秘密の時間
「そういえば去年の今頃、お前オレのこと嫌ってたよな?」
「うっ……でも、今は…」
「“今は”、なに?」
千秋は腕枕をする腕にグッと力を入れて、あたしの顔を自分の顔に寄せてイタズラな瞳をする。
ドキン……。
「千秋の嫌いなモノってなに?」
「嫌いなモノは雅弥」
含み笑いを浮かべて言う。
「はと…り……?」
聞き返したけどあたしはなんか、うとうとしてきた。
瞼が重くて目を閉じてしまう。
「じゃ、好きな…モノは…?」
聞いてみたけど、もうダメ……。
頭がぼんやりして意識が遠のいていく。
千秋があたしの髪の毛にそっと触れて、撫でてくれたのがわかった直後あたしは睡魔に支配された。
「好きなのは、笑った顔が可愛いお前」
千秋がなんて答えたかなんて、眠りについたあたしは知るハズもなかった。
だけど、とても幸福な夢を見ていたような気がする。