【続】俺様王子と秘密の時間
――ゴトンッ
何か重い物が落ちたような音に、あたしも黒澤拓海も涼くんも少し驚きつつ顔を見合せてしまった。
「オバケだったりして〜」
「ちょ……やめてよ!」
こんな夕暮れ時にないない。
なんて思ってもニカッと笑いながら言った涼くんの冗談にビクビクしてしまった自分が情けない。
「クククッ……」
タバコを指で挟み腕を組む仕草をして面白そうに目を緩める黒澤拓海は、そっと立ち上がった。
まだ数回しか会っていないし、会話らしい会話なんて全くと言っていい程してないけれど……。
あたしの中では“最悪な人物”になっている。
――ガタンッ
「ひぃいいいい……!」
また音がした……。
これが怪奇現象ってやつなの?
そんなバカげたことを考えながらも、無意識のうちにあたしは物音がした塔屋を見上げていた。
「え……?」