【続】俺様王子と秘密の時間
いつからそこに居たのかなんて、そんなの考えなくても勝手に頭の中でわかってしまった……。
あたしが屋上にやって来たあと、ココに来たのは涼くんだけだ。
黒澤拓海は既にココに居たのに千秋の存在に気づかなかったのは、千秋が黒澤拓海よりも先に屋上に居たからなんだ……。
あたし達の会話は全て千秋に聞こえていたことになる。
「いつから居たのー?」
黒澤拓海はまたヘラヘラと軽薄な笑みを浮かべる。
思い切り吸いこんで吐き出した煙はゆらゆらと天へと昇っていく。
「お前が来る前から居たよ?」
口元だけで微笑して答える千秋の声は普段よりも低い音で、冷めた瞳は恐怖を覚える程だった。
今すぐ違う場所へと目を逸らしたかったのに、目を離すことが出来なくて……。
「そこに居たなら降りてくりゃあよかったのに。盗み聞きでもしたかったの?王子のクセに悪趣味なんじゃない?」