【続】俺様王子と秘密の時間


黒澤拓海はさっきまで千秋が居た塔屋を顎で示すと、茶化すような口調で一気に言葉を投げかけた。


――パシッ


言い終えたあと小首をかしげて、お得意のヘラヘラ顔をしながらタバコを指で弾いて千秋の足元目がけて飛ばした。



「お前の目的はなんだ?」


目的……?

足元の“Seven Stars”を踏み潰した千秋は、鼻で笑い分厚い本を片手に黒澤拓海の元へ向かう。


きっとさっき聞こえ物音の正体はコレだ。

この本を落としたのか放り投げたのか、鼓動が速まる中、あたしはそう思っていた。



「目的なんかねーよ」

「じゃ、19歳が何でココに居んの?」

「……」


見下すような物言いに黒澤拓海の顔から笑いが消えた。


もしかしてさっきの黒澤拓海との会話が千秋に聞こえてた?

聞こえていてもおかしくはないんだけど。

黒澤拓海は目の前まで来ていた千秋を睨むかのように顔を向けた。

 

< 361 / 658 >

この作品をシェア

pagetop