【続】俺様王子と秘密の時間
独りぼっちはとても寂しいということを、あたしは知っている。
「オレさぁ、金貯まったら高校辞めて一人暮らしするんだ。種子島で」
「種子島?なんで……?」
「オレの産まれ故郷だから」
真面目な顔をしてあたしの目を見つめる黒澤拓海だけど、あたしを見ているようで見ていない。
そんな瞳だった……。
「なあ?」
ふいに黒澤拓海の指先があたしの頬をなぞる。
顔を上げてビクッと肩を震わせたのは、正門からこっちに歩いてくる人が視界に映りこんだから。
「そろそろ“拓海くん”って呼んでくれてもいんじゃね?」
「離して……」
黒澤拓海の問いかけに答えず、あたしは押しつけられている身体をねじって暴れた。
「――“シズナ”」
え……?
黒澤拓海はそう言ってあたしを抱きしめる。
別の“誰か”の名前を呼んだ。