【続】俺様王子と秘密の時間
「それは仕方ないわねぇ……」
はーちゃんは呆れて言う。
時刻は昼休み。
窓際に背を預けて腕を組んでる。
朝は危機一髪のところを助けられたけど、千秋は何も言わずにあたしを教室まで連れてってくれた。
……その間の沈黙が怖かった。
千秋の去っていく後ろ姿が怒っている気がして、あたしは目で追いながらも声をかけらなかった。
「いくら王子だって怒るわよぉ?学習能力ないとまで言われたのに、アンタってばまた……」
「だ、だってあの男が!」
――ビシッ
苺ミルクを飲んでうなだれるあたしのおでこに、羽鳥がデコピンしてくる。
「バーカ。あの男には気をつけろよな?」
そういえば羽鳥は一度スーパーで黒澤拓海と接触している。
「雅弥は妬いてるんだ?クスッ」
茶化すように口を挟んだコウちゃんの頭に、バコッ……と羽鳥の上履きがクリーンヒットした。