【続】俺様王子と秘密の時間
◆ドキドキ旅行
「えーー、温水プールがいい!」
「はぁ?遊園地でしょ?」
今日はいよいよサマースクール。
行きの新幹線の4人席では、はーちゃんとコウちゃんがまずはどこへ行くかで揉めて騒がしい。
お菓子やジュースなんかも広げてほんと遠足気分。
「シイー、お前暗くね?」
前髪をちょこんと結んだ羽鳥があたしの顔を覗きこんでくる。
あたしの気分はこないだから沈みっぱなしだ。
だって……
「シーイ。お菓子ちょーだい?」
原因はコイツだ……。
後ろから聞こえる黒澤拓海の声に振り返ると、シートから身体を半分乗り出している。
顔を見るだけでムカつくヤツだ。
あたしは大袈裟なくらい顔を背けてパンフレットに目を落とした。
せっかくの旅行だっていうのにかなり憂鬱だよぉ。
自然とため息が漏れる。