【続】俺様王子と秘密の時間
――きっと黒澤拓海は知らない。
あの日あたしが黒澤拓海とシズナという女の子の写真を見たなんて、きっと知らないんだろう……。
「……シイ?」
実はその写真はあたしの鞄の中にある。
渡すにも渡せないでいるんだ。
自分に似ている女の子との写真を黒澤拓海が持っていたのだから。
それにお願いってなんなんだろ?
変なことじゃないといいけれど、アイツの場合は無茶苦茶な要求を言い出しそうですごく嫌だなぁ。
「おい、聞いてんのかよ?」
ハッ!
あたし、ボーっとしてた。
「ごめん……」
「ったく。夜はシイと葉月の部屋に行くから寝るんじゃねぇぞ?」
「えぇっ!?」
「せっかくの旅行なんだから朝まで騒ぐんだよ」
西山先生に見つかったら大変だ。
きっと反省文なんて優しいもんじゃ済まなそうだよぉ。