【続】俺様王子と秘密の時間
「えーと、温水プールだよ?」
「そ。コウがうるさいのよね」
すると背後からバタバタと足音が聞こえた。
振り返ってみると浮き輪をすっぽり身体に通したコウちゃん……。
「ねぇ、早く行こう!」
いつの間に空気いれたの……?
これには千秋も佐久間くんも苦笑いを浮かべた。
「おい、お前ついてくんなよ?」
羽鳥が追い払う仕草をして千秋を睨む。
憎たらしいくらいに唇を曲げる羽鳥に、千秋は小馬鹿にするように鼻で笑って少し首を傾ける。
「そんなんで、オレを越えられるわけ?」
「黙れ冷血クソ王子」
「一生かかっても無理だな」
「余裕ぶってんなよ!」
はーちゃんとコウちゃんがやれやれといった顔をしている中、あたしはオロオロするしかなかった。
言い争いを止めようと佐久間くんが仲裁に入るけど、二人は全く聞く耳持たず。
この旅行、大丈夫かな……?