【続】俺様王子と秘密の時間


黒澤拓海がドリンクを買いに行ったあとあたしはベンチに腰かける。


一人になって真っ先に思い浮かんだのは苦々しいような苛立っているような、冷たい表情をしていた千秋のことだった。


ずっと考えないようにしても最終的に行き着くのはやっぱり千秋のことで、あの場を離れたあともひっかかっていたんだ。


せっかく一緒にすごせる貴重な時間なのに、羽鳥のことばかり考えていたから。


ポツンと座るあたしの近くで、カップルが写真を撮って微笑みあっていた。


写真かぁ。

あたし、全然写真撮ってな……。



ん?

写真、写真……。



「あぁああああああーーー!!」


忘れてた!

あたし、黒澤拓海の写真を拾って、それで。


鞄の中をあさると、底の方に忘れ去られていた写真が顔を出した。

コレ……渡そうと思って持ってきたんだった。

 

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