【続】俺様王子と秘密の時間
◆焦がれる想い
『………拓海へ。見送りには行きたくないから、コレに録音しました。って……なんか改まっちゃう。私らしくないよね』
こ、コレって……。
黒澤拓海のMDから流れてきたのは女の子の震えるような声だった。
コレ、絶対聞いちゃダメだ……。
人には知られたくないことってあると思うし、それにコレはきっと黒澤拓海にとってすごく大切な物だと思うから。
直感的にそう思ったあたしは慌ててイヤホンを外そうとした。
でもMDから聞こえる女の子の言葉は止まることなく流れてくる。
『拓海……置いてきぼりにしないで。私、拓海のことが、好………』
――カチッ
突然、音が消えた。
それと同時にベンチに座るあたしに影が出来て勢いよく振り向くと、黒澤拓海が立っていた。