【続】俺様王子と秘密の時間
「いや、あの。持ってたっていうかこないだ偶然たまたま拾ったんだけど、返すタイミングがなかったっていうか……。それで今のうちに鞄の中に入れちゃえなんて思って……」
もぉ、あたしってばめちゃくちゃなこと言ってるよ……。
出来るだけ普通に話そうとしたけど、動揺してるあたしは上手く説明出来なかった。
「だからって、人のMDを聞いていいことにはならないだろう?」
「う……。ほんとにごめんなさい……」
謝ってうなだれるあたしにジュースを手渡す。
黒澤拓海もソレを一口飲んで、フゥッと大きな深呼吸をしてから話し始めた。
「写真なくしてから、どこで落としちまったんだって探しててさ。かなり焦ったわ。だからマジでよかった…」
やっぱり大切な写真だったんだ。
いつもはカチンとくるような言い方をしたりするけど、今の黒澤拓海は心底安心しているような顔をしていた。