【続】俺様王子と秘密の時間
「コレ、見たろ?」
ドキッとしたけどあたしは小さく頷く。
「じゃあ、もうわかった?なんでオレがシイに執着するか」
「……ううん。でもその写真の女の子…」
あたしが歯切れ悪く答えると、黒澤拓海は小さく息を漏らした。
「自分に似てる女がオレと写真に写ってんだ。まぁ、驚くのも無理ねぇか」
あたしの胸の内を悟ったようにそう言ってさらに続ける。
「オレの彼女だ。名前はシズナ。オレがまだ種子島に居た頃、16の時に付き合ってたんだ……」
写真の女の子は彼女だったんだ。
「オレが島を離れる日、シズナは見送りに来なかった。ちゃんと別れ話っつぅのもしないままでさ。まぁ、もう3年くらい会ってねーから今は彼女とは呼べねーか……」
淡々とした口調で過去を話す黒澤拓海だけど、好きな人と離れることがどれだけ辛かったかを、表情が物語っているような気がした。