【続】俺様王子と秘密の時間


「コレは返してな?」


コレ……?

あたしの耳からイヤホンを外す。


あ……、忘れてた。

さっきいきなり黒澤拓海が戻ってきたから、ずっとMDを膝の上に置いたままだったんだ。



「オレ、コレがないと眠れねーんだ」


スッとポケットにしまいこむと、切なげに微笑した。



「この遊園地、変わった名前だろ?イタリア語で四つ葉のクローバーっていう意味らしいんだ」


唐突、そんなことを切り出した。

ただ単に変わった名前って思ってたけど、ちゃんと意味があったんだ。



「そういえばアナタ、ここにやけに詳しいよね?」


さっきもあちこち連れ回された。



「実は島離れる前にシズナと来たことあって。そん時、シズナが噴水の中に入りたいって言うからふざけて入ったんだよ」


一度来たことあるから詳しかったんだ。



「そんでさ」

「それで?」

「キスしたんだ」

 

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