【続】俺様王子と秘密の時間

うーむ……。

西山先生が女子の階にまだ居るかもしれないから、今すぐ戻ったら見つかっちゃうかもしれない。

ど、どうしよう。



「シーイ」


えっ。

この声とこの口調は……。

男子の階のエレベーターと階段付近で背中に声をかけられ、後ろを振り返ってみると、予感的中。



「く、黒澤拓海！」

「シイ、なにしてんだ？」

「アナタに関係ありませんっ」

「ここは男子の階だぜ？」


痛いとこをつかれたあたしに追い討ちをかける。



「おいおい。こんな時間にプリンスと逢い引きか〜？」


冗談めかして言う黒澤拓海を無視して、あたしは足を進める。



「もう付きまとわないって約束、ちゃんと守るから無視すんなよ」


独り言みたいに呟くからあたしは足を止めて、黒澤拓海を見る。



「……もう、いいったら」

「ああ。シイ、またな？」


黒澤拓海はそれだけ告げると部屋へ戻って行った。