【続】俺様王子と秘密の時間
西山先生だったらどうしよう!
今ここから出たら絶対見つかる。
でも普通にこの旅館に泊まっているお客さんかもしれないし……。
か、考えてる時間はない!
こうなったら寝たフリを決めこむしかない……。
やけになったあたしは再びベンチに座り、出来るだけ自然に見えるよう目を閉じて狸寝入りをした。
その直後だった。
あたしの座るベンチのそばで足音は止まったのだ。
ひゃあああああああああ。
お願いっ、早くどっか行って!
……けれど、もし西山先生だったらきっと怒ってるんじゃない?
怒られないってことは西山先生じゃないってことだ。
寝たフリをするあたしのそばで誰かがため息をついた気配がした。
そしてあたしの髪に触れてくる。
ビックリしたけど今さら目を開けるなんて出来なくて、寝たフリを続けるけど鼓動は大きくなる。
――誰なの?