【続】俺様王子と秘密の時間
優しく優しく髪を撫でるその手の暖かさに、誰かもわからないのに心地好いと思ってしまった。
あたしは目を閉じているせいで、今その人物との距離がどれくらいなのか、それすらもわからない。
その手が今度はスゥッとあたしの首筋へ滑るようにおりてきて、鎖骨辺りで指先が止まったのだ。
ヒィッ……。
それには驚いてビクビクしたけど我慢するしかない。
あたしの鎖骨に指で触れてくる。
――そこはダメ……。
さっき千秋があたしに刻んだ赤い印を、そっと指でなぞってくる。
シーンと静まりかえるこの場所。
もう寝たフリなんてやめにして、起きてしまおうか?
そう考えているあたしの唇に、微かに短い吐息を感じた直後……。
え……?
柔らかい唇の温度があたしの唇に伝わった。
ふわっと触れるようなキス……。
あたしの思考はしばらく静止していたと思う。