【続】俺様王子と秘密の時間
◆小悪魔Dollにご用心
月曜日は憂鬱な一週間の始まり。
しかもあたしは、逃げても逃げても真っ黒で巨大な影が迫ってくるという最悪な夢を見た。
走っても走っても迫りくる黒い影に、逃げきれないと悟った時、そこで目が覚めたのだ。
……なにかの暗示?
それともこないだ新館の廊下で感じた鋭い視線のせいかな?
「ふ……ああぁーっ」
部屋を出ると、身支度を終えたお姉ちゃんが椅子に座りタバコを吸っていた。
狭いアパートの一室はタバコの匂いが充満する。
口元には赤いルージュ。
「うわっ、でかいあくびねぇー。みっともないわよ?アンタ一応、女の子なんだから」
あたしが声をかける前にお姉ちゃんが口を開く。
しかも、一応って……。
「ほーら、突っ立ってないで顔洗ってきな。寝癖も酷いわよ?」
二つ返事であたしは洗面所に向かうと、4月でまだ冷たい水で顔を洗う。