【続】俺様王子と秘密の時間
目覚めは最悪だった。
昨日の夜、部屋に戻った時には、はーちゃんは既に寝ていて、あたしはまともに眠れずに何度も寝返りを繰り返した。
「シイ、顔色悪いわよ?」
「……えっ?そうかな?」
「昨日のこと、気にしてるの?」
はーちゃんには朝起きた時に、昨日のことを話している。
もちろん千秋の部屋へ行ってから、あたしがなかなか戻らなかった理由や経緯を全部話したのだ。
「それで、誰なのよ?シイにキスしたのは……」
今あたし達はサマースクールを終えて帰るため、旅館の前に停まっているバスに乗るところだった。
生徒達のお喋りでざわつく旅館の前で、はーちゃんと話している。
「わ…わかんない……」
嘘をついてしまった。
本当は、誰かなんてわかってる。
ただ言えなかったんだ……。
「オレ、知ってるよー?」
口を挟んだのはコウちゃんだ。