【続】俺様王子と秘密の時間
夜中、あたしにキスをしたのは。
あたしに触れたのは。
羽鳥だった……。
「んだよ、コウ。いきなり」
「あっ!雅弥、とぼけてる!」
目を閉じていたってわかってしまったのは、羽鳥の爽やかなシトラスの香りが鼻をかすめたから。
それは唇が触れる一瞬だった。
「コウの勘違いだろ……」
「違うよ!オレ見たんだ!」
「あー、もう。うっせぇ」
めんどくさそうに頭を掻く羽鳥と目が合った。
けれどすぐに逸らされて、その切れ長の瞳を伏せる。
「昨日、シイがなかなか戻って来なかったから、羽鳥が探してくるって言って部屋を出てったのよ」
黙っていたはーちゃんが、昨日あたしが居なかった空白の出来事を説明してくれる。
「でも今度は羽鳥が戻って来なくて、それで次はコウがアンタ達を探しに行った……」
はーちゃんは淡々と続ける。