【続】俺様王子と秘密の時間
その視線をあたしも羽鳥も辿る。
視線の先に居たのは紛れもなく王子様で。
今の羽鳥の言葉なんて嫌でも聞こえるくらいの距離に居た。
けれど千秋はたくさんの女の子に囲まれていて、見えるのは風になびく薄茶色の髪と横顔だけ。
その横顔が驚く程に冷酷だった。
「聞こえてんだろ、クソ王子が。余裕かましてんな……」
千秋は振り向かない。
あたし達の話しなんてなに一つ、耳に届いていないみたいだった。
「なんで焦んねぇんだよ……」
千秋を見て、これまでにないくらい切れ長の瞳は鋭さを放つ。
真夜中の秘密はなにかが起こる前兆のようで……。
千秋があたしの身体に残した、赤い刻印が焼けるように痛かった。